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今月の熊G 2025年5月

  • piyo-kamakura
  • 5月14日
  • 読了時間: 4分

あなたには学生時代に好きな先生がいましたか?保育園時代はどうでしたか?

「♪ターバコをー吸いなーがら・・・・・・」1970年代、初期のRCサクセションのヒット曲だ。「ぼくの好きな先生」というタイトル。熊Gが小学生の時にラジオでよくかかってた。ボーカルの忌野清志郎が通っていた都立日野高校の美術教師のことを歌ったフォークソング。「♪ぼーくの好きーなせんせーい、ぼーくの好きなおじーさん・・・」というサビだった。熊Gは10代のときにRCの大ファンだった。でも教師とか学校とかは若者をしばりつける体制側として悪者にされるのが普通だ。だから先生が好きだというこの歌詞にはちょっと違和感を感じていた。しかし・・・・・・。

熊Gは県立秦野高校という丹沢のふもとの高校に通っていた。一年のときの担任は橋本先生という数学の先生だった。先生は大学を出てまだ2年目の若さだったけどすでに生徒たちから一もく置かれていた。例えば、ある朝の授業の前にクラスの1人の生徒に向かってこう言った、「昨晩、〇〇がバイクで事故った夢を見たよ。くれぐれも事故だけは起こさないようにしてくれよ」。当時市内に一つしかない高校だったので、地元の中学から成績にあまり関係なくいろんな生徒が集まってくる学校だった。東大を受験する秀才もいれば秦野高校の生徒だけで作っている暴走族のチームもあった。〇〇はそのメンバーだった。橋本先生はそのことを誰かに聞いたらしい。その朝の一言は本気で〇〇を心配しているように聞こえたし、夢を見たこともウソじゃないと思えた。熊Gはこの先生夢に見るほど生徒のことを気にかけているんだ、と驚いた。多分クラスのみんながそう思ったんじゃないかな。

3年生でもまた担任だったこともあって熊Gは進路のことなどいろいろ話を聞いてもらった。そんなある日、数学の授業中に熊Gが黒板に背中を向けて後ろの生徒と私語をしていたら、先生は話すのを止めた。そして手にしていたチョークを熊Gに投げつけようとした。その気配を察した熊Gは振り向きざまサッと下敷きを構えた。顔に飛んできたチョークは下敷きに当たって床に落ちた。クラスのみんなの拍手。そんな“あうんの呼吸”を生徒ともつことのできる先生だった。卒業してからも自宅に遊びに行った。熊Gにとってのぼくの好きな先生だった。

保育園の園児にとって園の大人はどんな存在なのだろうか。熊Gは見学に来られた保護者にオムツでなくパンツにしている理由の一つをこう話している。赤ちゃんはオシッコしてパンツが濡れて気持ち悪いのを、シャワーして着替えさせてサッパリさせてくれる担任に対してしだいに愛着を感じるようになります。愛着関係は親子の間が一番大事ですけど園では園の大人との愛着も必要ですからそれを育むためのパンツなんです、と。そんな愛着関係を持った赤ちゃんたちが卒園するまでの数年間、毎日いっしょにいる担任との結びつきはどれだけ強まるだろう。でもクラスの12人の友だち全員にとっての担任だからその分1人との関係は薄くなるのかな。

熊Gはクラスを持たないのでそのあたりのことは実感としてはよくわからない。でも時々子どもたちとお出かけしたり、お泊まりしたり、夕方オハナシしたりするので、子どもたちは熊Gのことを保育園にいる面白い人くらいには思ってくれているみたいだし、熊Gも園の子どもは誰でもみんなかわいい。

去年、ピヨバスで小学校の近くで信号待ちしていたら、ちょっと離れたところに立ってじっとこっちを見ている子がいた。アッと思った。熊Gが園長になった年の最初の卒園児だった。いつも鼻を垂らしていた子がもう6年生のはずだ。窓を開けて名前を呼んだらはにかんで手を振ってくれた。そのあと、おこがましいかも知れないけど、その子にとって熊Gが「ぼくの好きな先生」だったらいいのにと思った。

今はあの歌は清志郎がストレートに自分と先生の関係を歌った素敵な歌詞だとわかる。そしてそれは世界中の子どもが先生や保育士と結ぶべき理想的な関係の歌だと思う。こんどカラオケに行ったらリクエストしてみよう。2日が清志郎の命日だった。合掌。

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