今月の熊G 2025.3
- piyo-kamakura
- 4月4日
- 読了時間: 4分
20世紀のアメリカに三人の王様がいた。一人は歌を歌うのが上手でレコードを出し、みんなを楽しませた。その王様の名はベン・E・キング。1961年に「Stand by Me」を発表。聴けばあなたもわかるはず。「♪だありんだありん すてええん?ばーいみいい?おおーおすてええんばあいみい・・・・・・」って歌。知ってるでしょ。歌詞の内容は、夜の暗闇の中でも山が海に沈んでもあなたがそばにいてくれれば怖くない、という寄り添うことをテーマにしている。
二人目の王様は話をするのが上手で、1963年に「IHave a Dream」という有名な演説をした。「私には夢がある。それは、私の4人の子どもたちが、肌の色ではなく人格によって評価される国に住むことだ」ワシントンで 25万人の聴衆に向かってそう語った王様の名前はマーティン・ルーサー・キング牧師。「IHave aDream」は黒人差別をなくすための公民権運動を前進させる力となった。そしてその公民権運動の集会ではいつも「Stand by Me」が歌われたそうだ。
そして 1986年に同名の「スタンド・バイ・ミー」という映画が公開され、この歌が主題歌に使われた。この映画は4人の少年の友情と成長の物語だが、その原作を書いたのは物語を作るのが上手な三人目の王様、スティーブン・キングという小説家だ。彼ら三人のキングはゆるやかな関連を持ってアメリカ文化のいいイメージを担っている王様たちだ。
1960年代生まれの熊Gは物心ついたころからアメリカの文化にあこがれを持っていた。小学一年生のときアポロ 11号の月面着陸に驚き、10代を『ポパイ」『宝島」などアメリカン・カルチャー雑誌を読み「ベストヒットUSA」でアメリカンポップスに親しんで過ごし
た。学生時代にはアメリカの近代建築を研究するために現地に滞在した。パソコンはずっとMacを使い続けている。でも今の日本の子どもたちはアメリカにあこがれたりはしないだろう。するとしたらせいぜいブレイクダンスが好きな子たちくらいでは。ではなぜ 20世紀のアメリカは熊Gのような日本人にそんなに人気があったのか。
それには二つの理由がある。ひとつはアメリカが世界の王様になろうとして文化をどんど
ん「輸出」したから。日本にパンと牛乳の給食やテレビドラマやジーンズなんかを送り込んだし、留学生を集めてアメリカの政治経済を学ばせて資本主義と民主主義を持ち帰らせた。
もう一つの理由は、太平洋戦争でアメリカにコテンパンにやられた日本が、もう二度とや
られないようにアメリカの家来になることにしたから。常にアメリカの顔色をうかがって何でもアメリカの言うとおりにすることにした。
しかし今、トランプのアメリカは腰巾着の日本を振り払おうとしているようだ。もう世界の王様になるのはやめにしたし、日本と付き合っていると金がかかるから。「なぜ米国が金を使って日本を防衛しなければいけないんだ?」というトランプは日米安保条約を破棄する気
だ。日本の平和憲法は安保条約とセットになっている。もともとは第2次世界大戦後、これからは国連軍が世界の平和を守るから国ごとの軍隊は不要になります、というビジョンのもとに憲法九条が起草され非武装、戦争放棄の先駆者となった。ところが冷戦になってしまい国連は役立たずになったので、日本は九条を維持するためにアメリカの核の傘の下に入った。そしていま傘から出て行けと言われかけている。
ピヨの子どもたちが育っていくこの国はどうしたらいいのか。少子高齢化がますます進んで若年労働者は介護に追われ軍備増強する金も人員も足りないから、軍事力以外で国民を守る方法を考えなければいけない。アメリカという王様がいなくなって、今度は中国の家来になるか。それともお隣りの韓国と台湾に謝罪して一つになって新たな国づくりをするか。
Stand by Me は直訳すれば、私のそばに立ってください、ということだが、スタンド・バイ・〇〇という慣用句で「〇〇の味方をする」という意味だ。日本は誰に Stand by Me と呼び掛ければいいのかな。
熊倉洋介
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